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2025-05-29に投稿
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概要

建築物の安全性を根底から支える「基礎構造」。

その設計は、建物の規模や用途、そして何よりも敷地の地盤状況によって大きく左右されます。

日本建築学会から発行されている二つの指針、「建築基礎構造設計指針」 と **「小規模建築物基礎設計指針」**は、それぞれ異なるニーズに応えつつ、日本の建築設計実務に不可欠な知識を提供するものです。

今回は、これら2冊の指針を詳しくご紹介し、皆様の設計業務にどのように役立つのかを探ります。

ヒント

大規模から特殊構造まで対応!「建築基礎構造設計指針」で最先端の基礎設計をマスター

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**「建築基礎構造設計指針」**は、1952年の初版発行以来、日本の建築基礎構造技術の発展と共に進化を遂げてきた、まさにバイブルとも言える一冊です。 現行の第3版では、67年以上にわたる学術・技術の蓄積を背景に、現代の高度化・多様化する社会ニーズに応えるべく、 性能設計二次設計 の考え方が本格的に導入されました。

本書の主な特徴と対象:

  • 中規模から大規模な建築物
  • 複雑な地盤条件
  • 高い安全性が求められる特殊な構造物
  • 設計者が判断に迷う場面での確かな「考え方」と「指標」を提供

第3版の主な改訂ポイント:

  • レベル2地震動への対応の明確化:地震荷重や地盤変位に関する章が大幅に刷新されました。
  • 新しい基礎形式の詳細解説:パイルド・ラフト基礎や異種基礎など。
  • 鋼管杭の変形性能に関する最新知見 の盛り込み。

これにより、実務で直面する多様な課題解決に直結する内容となっています。より複雑で高度な基礎設計技術を追求し、信頼性の高い建築物を社会に提供したいと考える設計者にとって、本書は知識を深め、技術を磨くための最良のパートナーとなるでしょう。

ヒント

戸建て住宅から小規模施設まで!「小規模建築物基礎設計指針」で確かな安心を築く

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一方、 「小規模建築物基礎設計指針」 は、戸建て住宅や小規模な店舗・事務所など、私たちの生活により身近な建築物の基礎設計に特化した指針です。

1998年の建築基準法改正や2000年の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)の施行、そして近年の地震による液状化被害の教訓などを踏まえ、20年の時を経て全面改訂されました。

以前の「手引き」から「指針」へと格上げされ、内容も大幅に拡充。

特に、小規模建築物特有の課題に対応するため、地盤調査の方法から基礎形式の選定、具体的な設計計算に至るまで、初心者にも理解しやすいように本文と解説の形式で丁寧に説明されています。

さらに、直接的な設計法だけでなく、「施工・品質管理」「基礎の障害と修復」「環境への配慮」「造成宅地地盤」といった、実務で重要となる周辺知識についても独立した章を設けて詳述している点が大きな特徴です。

これにより、設計者はもちろん、施工管理者やこれから基礎設計を学ぶ学生にとっても、体系的かつ実践的な知識を習得できる構成となっています。

小規模ながらも多様な地盤条件や設計条件に対応し、安全で合理的な基礎設計を実現したいと願う全ての技術者にとって、座右に置くべき一冊です。

ヒント

建物の未来を支える「基礎」設計 – 2冊の指針で盤石な知識を築こう

建築物における「基礎」は、その名の通り、構造物全体の安全性と耐久性を支える最も根源的な部分です。

今回ご紹介した「建築基礎構造設計指針」と「小規模建築物基礎設計指針」は、どちらも日本建築学会が発行する信頼性の高い刊行物であり、最新の学術研究や技術動向、そして過去の災害から得られた教訓を反映して編纂されています。

これら二つの指針は、対象とする建築物の規模や設計の深度において役割が異なりますが、互いに補完し合う関係にあります。

「建築基礎構造設計指針」がより専門的かつ高度な技術的課題に対応する一方で、「小規模建築物基礎設計指針」はより広範な技術者が日常的に直面する課題に焦点を当て、分かりやすさを重視しています。

両方の指針を手にすることで、建築物の規模や種類に応じた最適な設計アプローチを理解し、様々な地盤条件や荷重条件に対して柔軟かつ的確に対応できる、網羅的な知識体系を構築することができるでしょう。

建物の安全と未来を守る「基礎」設計。この2冊の指針は、あなたの設計業務を力強く支え、より良い建築物を創造するための確かな羅針盤となるはずです。